1章:5話

プレイヤー

ゲームマスター
・モノクロ

プレイヤー
克曇満
めいす
おれつえー
こんにゃく
・名無しドッター

ヒロイン達は残りの「鬼ごっこ」参加者とコンタクトを取ることに成功した。彼女らのキーワードを手に入れ、「鬼ごっこ」脱出計画の最終段階へと駒を進めた。
しかし、解決の糸口を見つけた彼女達を嘲笑うかのように魔族の魔の手が襲い掛かる。何者かによってよしのが戦闘不能にされてしまい、全員無事でゲームを終える計画は水泡に帰した。

カルテルへ

ま、まずは状況を整理しよう……今は2日目の夜で残り時間は1日と少し。
今は俺の事務所に集合していて、居るのは俺とらうたくんとムニサくんだったな。

NPCの4人

ひかり

武衣栄市内の一軒家に住む、上流階級の少女。巨乳
1章4話でらうたとよしのが彼女の自宅に訪問した。

のぞみ

武衣栄市内のアパートに一人暮らし。中学生位の年齢と見た目。現在ヒロイン達と行動を共にしている。
1章4話では、自宅でメガロに犯されている所をシャロン、秋恵、ムニサが訪問した。
尚、ひかりとのぞみのキーワードは『ぼぼん』と『ひど作』だと判明しているが、どちらがどちらのキーワードの持ち主かは判らない。

つばさ

らうたに自らのキーワードは『未定』であると告げ、ルールに抵触したとされ脱落。
現在はカルテル「アイアン・メイデン」によって保護されている。

こだま

初日の朝、シャロンが通学している最中に倒れていた少女。人狼で言う初日犠牲者。
現在は警察によって保護(?)されている。

NPCのヒロインも居るよー。
えーと、なんだっけ……ひかり、こだま……つばさ?

のぞみ「もしかして、私の事言ってる……?」

よしのも居るといえば居るわね……酷い状態だけど。

「うっ……ぐ、うぅ……」

そう、そしてよしのくんが何者かに襲われ、キーワードを当たられて「脱落」した。
犯人の目星はついていないが、NPCによって行われた可能性が高い……

秋恵ちゃんに連絡しないとねー。
誰がいつ襲ってくるかわからないから注意喚起しておかないと。

もう寝ているかもしれない……メールを送っておこう。

カルテルへの連絡手段はあるかしら? この子をこのまま放っておくわけにもいかないでしょう。

う、あ、あぁ……
どうして、どうしてこんなことに……? 一体、誰が私を……? あの瞬間、何かを見たような……

窓口の電話番号位ならば直ぐに調べられるようです。

よし、じゃあ電話をかけるよー。

アイアン・メイデン

よしのはカルテル「アイアン・メイデン」のエージェントである。ヒロイン名をラピスと名乗っており、カルテル内ではヒロイン名で呼び合っている様だ。
アイアン・メイデンは魔族の殲滅を至上目的としており、武衣栄市出張所では市民からの情報提供を募るために窓口の電話番号を公表している様だ。

ムニサは携帯電話からアイアン・メイデンへと連絡を取った。
しばらくすると車で職員が現れ、よしのを担架に乗せ運んで行く。
倒れたヒロインを介抱する事に関しては慣れているようだが、顔つきは苦々しく、前途有望なエージェント候補生が無残な状態にされていることに少なからず落胆を覚えている様だ。

「うぅ……よろしくお願いします」

職員「任せて下さい。何かこの子に伝言などありますか?
正気に戻り次第伝えておきますが」

「伝言……『こちらは大丈夫だ、ゆっくり休んでくれ』と伝えて貰えると……」

NPCにやられたと信じたいが……
よしのくんとらうたくんはあの時二人きりだった。ひかりくんが犯人だったとして、出会ったばかりの同業者を襲うのは考えにくい……
うかつな行動はしたくないが……いざとなったら俺がケリをつける……!

「大丈夫かどうかはわからないけどねー……ともかく、『なんとかするよー』って伝えて」

「私からは特に何もないわ……
それより、アンタ腕利きのヒロインなんでしょ? この件に関して何か情報とか持ってないの?」

伝言ね……うふふ。
グッバぁイ、よしの♥ あなたには特に恨みがあったわけじゃないけど、強いていうならその恵まれたスタイルと可愛い顔が癪に触ったの。恨まないでね♥

職員「知っていることはラピスに全て伝えてあります……
それ以上の事に関しては申し訳ないのですが、我々も調査中です……」

「そういえば、アイアン・メイデンでこの事件の被害者を一人保護して貰っていたはず……
『未定』と名乗った少女……確か名前は「つばさ」だったか、彼女の容態に関して教えてもらえますか……?」

職員「彼女なら今、鎮静剤を投与して眠ってもらっています。
意識を取り戻すとすぐに、その、自慰を始めてしまって……危険な状態なんです」

後遺症

「罰ゲーム」によって戦闘不能にされたヒロインは、魔族による淫毒で体中を蝕まれるため、継続的に戦闘不能になる。
シーン毎に任意で致命傷判定を行う事によって結果次第では復活出来るが、次のシーンに移行する際に再び戦闘不能状態に陥ってしまう。

「じ、じ、じぃ……ぅ、あうぅ……
ね、眠っているのでは会った所で情報は引き出せないか……」

「そういえば、らうたちゃんはこだまちゃんに会いたがってたよね?」

「こだま……? 私が会いたいのは「つばさ」ね。確かめたいことが幾つかあって。
彼女の意識が無いとしても、今のところ安全に情報が得られる場所はそこしか無いと思うわ。」
NPCはどいつも信用ならなくなっちゃったしね。

まぁ、ゲームの裏道を探してた頃はつばさに会って確かめたい事もあったけど…… 今となっては、全員「脱落」させたほうが早いってわかったしね。どうでもいいわ。

「よしのくんの収容先の確認にもなるな……
職員さん、良かったら我々も同行させて貰えませんか?」

職員「構いませんよ。あなた達だけでここに居るよりも、カルテルに居たほうが安全でしょうし」

「一人にならない方がいいね。らうたちゃんも、ひかりちゃんも一緒に行こう」

のぞみ「ひかり……? 私の事だよね、私はのぞみなんだけど……」

「アンタ、人の名前覚えるの苦手なの? 間違えすぎでしょ……」

ヒロイン達はよしのを運ぶ職員たちに続き、事務所を出て行く。
催淫がもたらす疲労感と、仲間が狩られた事に対する絶望によって憔悴しきっている様子だ。

勘違い

職員のワゴン車に同乗し、一同はアイアン・メイデンの施設へと到着する。
アイアンメイデン武衣栄市支部の施設は外見上は小さなオフィスビルだ。しかし、実際には地下深く施設が伸び、様々な人員や装備が配備されている。
ヒロイン達は入り口からいくつか階段を降り、入り組んだ地下の廊下を進んでいく。すると、職員が一つのドアの前で足を止めた。ドアには電子錠がかけられており、分厚く丈夫そうだ。

職員「保護された少女はこの部屋です。わかっているとは思いますが、相手は病人です。決して騒いだりすることの無い様……」

「わかってるわ。しかし、すんごいしっかりした施設なのね……どこから金が出てるのかしら……」

「でもやっぱり地下秘密基地ってわくわくするー」

「何をのんきな……」

職員「それでは私達はラピスを搬送するので、一旦失礼しますね。
中に非常用ボタンが配置されています。何かありましたらそれで知らせて下さい。」

職員達は電子ロックを解除すると、よしのを別の部屋へと運んで行った。
ロックが解除されると圧着用のガス圧が抜ける音がし、扉がゆっくりと横に開いていった。

「むっ……う、こ、これは……」

シャロンは何の心構えもせずにその部屋に立ち入り、その事について直ぐに後悔することになった。
部屋の中は淫臭で満ちており、部屋の真ん中のベッドには初日に触手を出産した少女が横たわっていた。
少女は鎮静剤を飲まされているにもかかわらず息が荒く、時々身悶えを繰り返していた。

「あ、う、これが……ヒロインの一つの末路か……」

「鎮静剤を投与してもこれ、か……よしのくん、回復は絶望的なのでは……」

そこに職員が一人戻ってくる。表情はやはり曇っており、犠牲になった少女達に対する感情が伺える。

「うぅ……彼女は……ずっとこの調子なのか?」

職員「ええ。残念ながら。しかし、我々も同じようになった少女たちを何人も助けて来ました。
時間はしばらくかかるでしょうが安心して下さい、必ず治療してみせます」

「……あ、う、うぅ」

シャロンと職員が話していると、らうたが苦しそうにその場にへたり込む。

「ど、どうした、らうたくん!?」

「もう、だめぇ……♥ すごい、匂いで……足に力、入らなくて……」

「私も……限界、かもっ……! 早く、用事を済ませて……ここから出よう」

「う、あ、そう言われると……だ、ダメだ! 意識しては……!
らうたくん、何か確かめたいことがあるとか言っていたが……何を確かめたいんだ?」

「はぁ、はぁ……『脱落』した人に、何か抜け道が用意されてないかなって……」

「抜け……道……? どういうことなんだ、詳しく教えてくれないか」

「ん……例えば、『脱落』したヒロインの胎内に、まだ卵の残滓が残されていないか……とか
残されているなら、つばさをタッチして『未定』と宣言すれば、『解放』されたりしないかな……って」

「なるほど……確かにその可能性は俺も少し考えたが……しかし、もしそれが悪い方向に作用したら……」

「う、うぅ……のぞみ、アンタ試してみてくれないかしら……?
そこに寝てる子のキーワードは『未定』。もしかしたらアンタ、今すぐ解放されるかも……」

実はこれもNGな行為で、いきなり脱落したり……なんてあり得ないかしら……
まぁ、恐らく無駄ね。うぅ、早くここから出たい……

のぞみ「わ、私が!? 嫌よ、即罰ゲームになる可能性もあるんでしょ!」

「む、むぅ……誰が試すか……」

「う、うぁ……ぅ……!」

「ムニサくん!?」

催淫にかかっていた期間の長い二人は限界に達したらしく、らうたに続いてムニサも股間を抑えながらその場に座り込んでしまった。
二人の呼吸は荒く、お互いの顔を見つめ合い、以前二人で犯した過ちを再度繰り返すのも時間の問題の様だ。

催淫の発症時期

らうたとムニサは2日目の朝に催淫を発症し、シャロンは2日目の夕方に発症した。

「あ、あぁ……♥ だめ、もう、何も考えられない……♥
む、ムニサぁ…… 助けてぇ……♥」

シャロンやのぞみ、職員が見ている前でもらうたの理性が取り戻されることは無い。
らうたは四つん這いになり、片手で自らの秘裂をショーツ越しになぞりながらムニサに擦り寄っていく。

「らうた……ちゃん……♥ 私も、頭が、ぼーっとして……
っ! ダメだ、流されては……!!」

「ふ、二人共……気をしっかり持つんだ!
どうやら、この部屋にこれ以上留まるのは危険なようだ!」

「ぼーっとして、よく聞いてなかったけど……
のぞみにタッチして、『未定』って言えば良いんだっけ……? 私がやるよ、早くここを出ないと……!」

這い寄るらうたを振り払い、なんとか腰に力をいれムニサは立ち上がった。
そして、ふらふらと「のぞみ」に近づいていく。

「そう、のぞみにタッチして…… え……?」

「のぞみ……? ち、違うぞ、ムニサくん! のぞみじゃなくて、つば……」

シャロンはいち早く間違いに気付き、ムニサを呼び止める
しかし、淫毒で正常な思考を奪われたムニサを呼び止めるには遅すぎた。
ムニサはのぞみの肩に手を置き……

「『未定』」

のぞみ「え……?」

ムニサがそれを口にした瞬間、彼女の下腹部が大きく脈動した。
自身に何が起こったか確認するため視線を下に向けると、ショートパンツの裾から、愛液の様な粘り気のある液体が次々に垂れ落ちているのが見える。

「脱落」の条件

鬼ごっこから「脱落」する条件は以下の通り。
・他人にキーワードを当てられる
・タッチした後間違ったキーワードを提示する
・自分自身のキーワードを自白する

「ムニサ!? なんでそっちに……! 『未定』はあの寝てる子だって言ったでしょ!!」

「あれ……? のぞみちゃんがこっちで、つばさちゃんがこっちで……
そっか、また聞き間違えたのか……」

「ムニサくん! 体調は大丈夫なのか!? 今、卵が動いた様に見えたが……」

「えへ……ごめん、また間違ったみたい……あとはたのむの……だ……」

こちらを振り向き、覚悟したかのように微笑んだ。
胎内の卵が割れ、中に入っていた液体が次々に膣口から垂れ出して来る。

「えー……あー。なっ、なぜこんなことに……」

「わけ……わかんない……」

「えへへ……」

出来るだけ他のヒロイン達に不安を与えぬ様、ムニサは笑顔のまま彼女らと距離を取る。
忍者としての鍛錬によるものか、己が内の恐怖を何とか噛み殺して耐えてはいるものの、下半身から湧き出る快感がそれを打ち砕くのも間もない様だ。

「うぁ、あ、あっ……」

子宮口が割り広げられる感触がした瞬間、ムニサの股間から大量の粘液が噴き出る。
立っていることが出来なくなったムニサは、尻もちを突いた様な状態で座り込み、下着に覆われた秘所をヒロイン達に晒す。

「ひぁ、出てくる……あ、ああぁ……!!」

ムニサ、クライシスアクト発生

ムニサ=アラギ、《純潔の証》を宣言。
CP 1→4
SP 1→3
胸0 腰0→2 尻0 口0 痛0 心1

硬くて熱いものを突き込まれる。女として大切なものが、痛みと共に千切れていく。望んでのものか、奪われたのか。目の前の相手と、一生に一度の契りを交わした時、赤い血が汗ばむ肌を伝っていくだろう。

ヒロインクライシス・クライシスアクトより引用。

下着に赤い物がじわり、と滲んだ。その瞬間、触手の先端が下着の端から顔を覗かせ、うねり始めた。
まるで初めて見た光が眩しいかの様に、視覚があるのかすらわからないそれは、行き場を求めて先端を右往左往させる。

「ちょっと、エージェント! あんたたち、アレなんとかしなさいよ!!」

職員「非常事態発生! 戦闘要員を呼び出します!」

職員は非常ボタンを押し、戦闘要員を呼び出した。
しかし、その間にもムニサの子宮からは次々に触手が排出されていく。

「う、うぁ……嫌だ、いやだぁ……! た、たすけ……」

処女を得体の知れない化物に奪われ、未知の快感に体を支配され、ムニサの理性は限界に達した。
これまで漏らされなかった泣き言が彼女の口を突いて発せられ、目からは涙が溢れる。

「あんなに頑張ってたのに……こんなのって無いわ……!」

「職員さん、何とか、何とかならないんですか!?」

職員「すいません、私は戦闘要員では無いのです……くっ……」

どぼっ、と一際大量に粘液が吐き出され、触手の芯となる部分がムニサから吐き出される。
まだムニサと繋がっているそれは、母となる体を一瞥すると、既に排出された触手を服の下に蠢かせ、全身に粘液を塗りたくる。
触手達には純潔を失った少女に対する慈悲の心は全く無いようで、それらは彼女の肛門に狙いを定め、後ろの処女をも容赦なく奪い去っていく。

ムニサ、クライシスアクト発生

ムニサ=アラギ、《後ろの処女》を宣言。
CP 4→6
SP 3→5
胸0 腰2 尻0→2 口0 痛0 心1

本来、性交のためにあるものではない器官に、無理矢理に挿入される。あなたは痛みと、そしておよそ考えられなかった事態に、狂乱すること間違いないだろう。

ヒロインクライシス・クライシスアクトより引用。

「いやあああぁっ! うあ、ああああぁ、ああぁっ!!」

肛門を貫かれたムニサは、海老反りになり絶頂を向かえた。
跳ね上がった腰はゆっくりと地面へと落ちていき、全身の力が抜けていく。
抵抗するための力を全て失ったようで、M字に開かれた股間からは静かに尿が流れだした。

ムニサ:致命傷判定

侵食度(0) + = 5

強烈な攻撃に失禁し、気が遠くなるが、意志を籠めて耐える。
【CP】を2点消費することで【HP】が1になり戦闘を続行できる。
しないなら【HP】が1以上になるまで[能動][補助]行動を行えない。仲間がいなければ行動不能になる。

ランドリューフ戦記、致命傷表・全滅表より引用。

職員「戦闘要員が到着しました! まずは無事なヒロイン達の保護を!
その後、発生した魔物を殲滅して下さい!」

惨劇の場と化した部屋に、エージェント達が雪崩れ込む。
触手に絡め取られ、断続的に痙攣を繰り返すムニサを上手く避けながら触手に攻撃を加え、慣れた手付きで魔物を退治した。
ムニサは解放されたが、既に淫毒は全身を蝕んで居るようで、満足に会話もできない様な状態と化していた。

「あ、ああ……これで……おわり……」

「ムニサくん! しっかりしろ!!」

職員「急いで治療室に搬送を! 状態はそれほど悪くはありません!」

「ムニサ……意識はある……?
脱落するなら、最後にせめてキーワードを教えてほしいの……」

罰ゲームから素早く救出されたのが功を奏したのか、ムニサには辛うじて意識があった。
焦点の定まらない目をらうたに向けた、ムニサは静かに呟いた。

「『名無しドッター』……あれは、私の……遠い昔の、約束の言葉だったわ……」

きゃーっ♥ やった、やったわ!!
ムニサが「名無しドッター」ってことは、残る秋恵は「おれつえー」! これで全員のキーワードが判明した! あとは二人きりになったタイミングで、一人ずつ「脱落」させていくだけ……!
うふふ、うふふふ! どうやらこのゲーム、私の一人勝ちみたいね♥

「そ……そう、か……(いつだ……)」

「錯乱しているのかしら……」

「私は……このゲームの最初から、終わっていたのかもしれない……そういうこと……」

言い終わると、ムニサは気を失った。
エージェント達は彼女を素早く担架に乗せ、救急室へと搬送していった。

「ムニサくん、最後まで不思議な人だった……」

「精神が限界に達してたのかも。明らかに様子がおかしかったし……」

「なる……ほど……無理をさせすぎたのかもしれないな……」

失意と休憩

ムニサが運び去られ、職員も全員ヒロインの介抱へと担ぎ出された。
つばさが寝かされている部屋には3人のヒロインだけが残され、誰のものかもわからない吐息の音だけが聞こえる。
らうたは顔を真っ赤にしながら俯いており、不調が見て取れる。

「はー……はー……うぅぅ、ムニサ……あんなに、広げられて……
胸も、口も、お、おしりも……犯されて……ひどい、酷いよ……あんな、あ、あっ……♥」

「お、落ち着くんだ、らうたくん……
のぞみくん、頼む! さっき言った手順で、『脱落』したヒロインへのキーワード提示を試してくれないか……! 一刻も早くここから離れないと……」

らうたは二人のヒロインが見ている前だというのに、今にも自慰を始めそうな状態と化している。
シャロンは慌ててらうたの手をとり、行為を止めようと試みるが、肌に触れたことが刺激となりらうたの状況はより悪化していく。

「うあっ、あっ♥ 離して、ボサボサぁ…… あっ、あううぅ……♥」

うぁ、ま、まずっ……
私、これ、タッチされちゃってる……!

のぞみ「うっ……しょうがないなぁ。わかったわ。」

のぞみは恐る恐るつばさに手を触れ、小声で「未定」と宣言した。
しかし、お互いの体調に何の変化もない。

のぞみ「……何も起こらないね。」

「……まぁ、そうだろうな。全く期待して居なかったと言えば嘘になるが……」

「あうぅ……そんな……これを確認するためだけに、ムニサは犠牲に……」

「いや、犠牲と言うか何と言うか……」

「もう……やだぁ……誰か助けてよ……
もう全部放っておこうよ……どうせ時間まで家でじっとしてれば助かるんでしょ……」

「わからん……だが、気をしっかり持つんだ。魔族の思う壺だぞ……」

失意のらうたに肩を貸し、3人はつばさの部屋から脱出した。
淫気に満ちた部屋からようやく離れることができ、ヒロイン達は思わず深呼吸をする。
しかし、そこに魔族の更なる追い打ちが襲い掛かる。

さて、卵が疼く時間です。全員ダイスを一つ振って下さい。

なっ……毎回最高のタイミングで、やってくれる、な……!!

シャロン:疼き蓄積値

7 + = 10

「ぐっ……うぅ、また……もう、やめてよぉ……」

らうた:疼き蓄積値

13 + = 15

ん、むぅ……むにゃ……

秋恵:疼き蓄積値

13 + = 18

「収まった……か……? 特に体調に変化は無いが……らうたくんはどうだ?」

「…………? なんか、胸が張って……なにこれ……」

バッドステータス:ミルク

何らかの毒や魔法によって、妊娠の有無にかかわらず乳房にミルクが溜まっている状態。
あらゆる受動行動の達成値が-4される。

「……だっ…大丈夫か?」

バッドステータス:尿意

膀胱に尿が溜まる速度が早くなり、尿意が刺激されている状態になる
MPを使用する行動をとる際に、MPを余計に1消費する。

卵の胎動に驚き、少々冷静さを取り戻したらうたであったが、胸に奇妙な張りがあることに気付き、襟元から胸を覗きこむ。
らうたの変調に気付いたシャロンは、らうたに近づき肩に手を置くが、らうたはびくりと過敏に反応し、シャロンの手を払いのける。

「さ、触らないで……! もう嫌……帰りましょう!」

うぅっ、驚くじゃない……なんども触らないでよ!
こいつには私を「脱落」させるつもりは無いみたいだけど、こんなに何度も触られると……驚くじゃない。

「うっ……そ、そうだな。しかし、らうたくんはどうする?
自宅に一人で戻るのか? のぞみくんもどうするか考えないと……」

「一人は……嫌よ…… 誰かと一緒に居ないと、不安で……」

さぁて、なんとかして二人きりにならないとね……
このボサボサ、思ったより消極的だし、ガンガン押してったら案外簡単にいけるんじゃない?

「そうか……じゃあ、また俺の事務所に泊まるといい。
のぞみくんも一緒にどうだ? 人が多いほうが安全だと思うが……」

「待ってよ、私はまだこの子を信用したわけじゃない……」
それに、NPCが危ないって言ってたのはボサボサ、アンタじゃない。

ふむ……しかし、無下に突き放すのもはばかられるのだが……
協力を頼んで付いてきてくれているわけだし……もし彼女が犯人だと言うなら、監視も含めて一緒に泊まるのが良いと思うのだが。

……やっぱり嫌よ。信用出来ないのもあるし、それに、その……

……バッドステータスが増えているな。7の倍数がしきい値なのか。
それで、複数人で居ることも不安なのか……?

うっ……その……不安っていうか、恥ずかしくて……
ボサボサ、アンタと二人なら……その、考えなくも無いけど……?

……それなら、事務所の部屋の鍵を渡すから別々の部屋で寝るといい。
丁度二部屋あるからな。俺は夜風にでも当たりに行ってくる。

らうたくんと二人は明らかに危険だ。この口ぶり……今度は俺が狙われているのか? ……このままやられる訳にはいかない。なんとしても二人きりになるのは避ける。脱出だ!

あぅ……わ、わかったわ……文句ないわよ……

ううぅ、乗ってこないわね、こいつ……
可愛く言ったつもりなんだけど……
もしかして、怪しまれてる?

シャロンはらうたを説得し、事務所の鍵を渡した。
のぞみとらうたはシャロンの事務所で寝ることとなり、シャロンはカルテルを出た所で二人と別れ、別行動となった。

一人で

らうたとのぞみを事務所に残し、一人になるシャロン。
二人と別れることに危険を感じてはいたが、体が求める物は既に脳で処理出来る限界を超えていた。

よしの:致命傷判定

侵食度(0) + = 1

胸に宿る消えない炎。倒れかけた身体に力が入る。
【HP】が1にになり戦闘を続行する。

ランドリューフ戦記、致命傷表・全滅表より引用。

「く……っふ……正直、もう限界だ……!」

「か、かといって……二人の前で、す、するわけには……!」

よしの:回復

バッドステータス解除:戦闘不能
HP:0 → 1

熱に浮かされた頭と震える足で深夜の街を歩く。
羽織ったコートは熱を逃すことに向いておらず、時間とともに身体の熱は増していく

「んっ、はぁ……はぁっ……」

半ば点滴スタンドに掴まるようにして、よしのは長い廊下を進んでいた。

「うあっ!? んんっ! ……っっ」

一際大ききな疼きに襲われ、腰が砕けそうになる。
「罰ゲーム」の後遺症により胎内にはもうなにもないはずなのに、今もなお発作的な疼きがよしのの身体を苛んでいる。

「っ……はあ……はぁ……」

疼きが収まるのを待って歩みを再開する。再び衝動がくるが、歯を食いしばり、爪を突き立て、時にはのたうち回りながら耐え、いつもより長く感じる廊下を進み続ける。

「とに、かく……人に見られない場所に……んっ、くぅ……! そ、そこで処理するしかない……!!」

霞む思考に鞭を打ち、なんとか駅前から少し外れたネットカフェに着いた。
各部屋が完全な個室にはなってはおらず、上や下からは内部が少し見えてしまうタイプのようだ。
しかし、気丈な探偵の腰と思考を、異様な熱がドロドロに溶かしていく。

「(も……もうここでいい……! あ、歩くたびに変な声が出てしまう……!)
こ、個室を……貸してくれ……」

店員「畏まりました、会員制となっておりますので、コチラにお名前を……」

「あ、ああ……」

冷静な判断が出来なくなり、震える指は迂闊なことに本名を書いてしまう。

店員「あ、お客さん、あの探偵の?」

「え……あ、あぁ……(しまった…適当に偽名を…も、もういい!)」

――私はなにをやっているんでしょうか?
私が視た情報を誰かに伝えればそれで事足りるはずなのに……
こんな事を1人でする意味なんてないはずです。

「と、とにかく……んぁ、ぅ……は、早く案内してくれぇ……!!」

店員「え、ええ、畏まりました……」

――魔族を倒すため?
――カルテルのため?
――シャロンさん達のため?

通路に転々と発情した証を垂らしながら、ふらついた足で店員の案内に従う。
会話の終わりに、店員が謎の笑みを浮かべていたが、熱に浮かされたシャロンではそれに気付くことは出来なかった。
足を縺れさせながら個室に雪崩れ込む。扉の上下の壁に隙間があり、やはり完全に隠すことは出来ないようだ。

――――いいえ、これはきっと……
私が、私のために、「あの子」を……
この手で、おいつめて……そう……暗くて冷たくて、誰にも見つけてもらえないあの場所で……
這いつくばらせて! わたしと……っ! わたしと同じ目にッ!!!

「はぁ、はぁ……! せ、背を向ければ大丈夫だ……!!」

コートをはだけ、ズボンをずらし、色気のない下着の脇から指を滑り込ませる。
声を漏らさない様、歯はハンカチを強く噛みしめている。

よしのとGMの耳打ち会話

……目覚めましたか、よしの。

……ふふ、お陰で最高の気分です。GMさん。
さてさて、wisを私に寄越したということは、何か朗報があるってことですよね?

その通りです。あなたは鬼ごっこから「脱落」しましたが、私とのこの耳打ち会話によってNPCをある程度自由に動かすことが出来ます。

なるほど。GMさん、まず聞きたいのですが。

なんでしょう?

あの時、私は後ろから何者かに襲われ、キーワードを提示されたと聞きました。
その時の記憶に、犯人に関する手掛かりは何か残っていないのですか?

ふむ……それではここで犯人について推理してみてください。結果次第で考えましょう。

犯人は私の中でもう決まっています。らうたさんです。
ひかりのシーンの後、事務所に戻ってすぐによしのの隙をつけるのはらうたさん以外にいないはず。そしてGMさん、あなたが何の警告もなしにいきなり私を「脱落」させるとは思えません。
つまり、これは身内、プレイヤーによる犯行です。

なるほど、わかりました。それではあなたはその推理に確信を持つことが出来ます。今後の行動は、その確信に基づいて行動することが可能になります。

ふふ、当たりか外れかは教えてくれないのですね? ……まあいいです。犯人はあの子以外あり得ないのですから……!

それではGMさん、エージェントとの会話を希望します。

いいでしょう。

よしのはふらつく足取りでエージェントの詰めている部屋のドアを開ける。
到底歩ける状況ではなかったはずのよしのが現れた事に、エージェント達は驚きを隠せない様子だ。

「……お疲れ様です、皆さん。」

エージェント「ら、ラピス!? あなたどうして……!」

「私のことはいいです……っ、それよりこれから言う機材と、それから……ヒロイン一人が暴れても逃げられないような部屋を用意してください……」

エージェント「あなた、一体なにを言って……?」

「裏切り者を……炙り出します」

「ぅ……っくぅううぅうぅっ……!!
(きょう、れつ……だ……!! ば、ばかに……なってしまう……!!)」

ふと耳を澄ますと、隣の部屋の息遣いが聞こえる

「はぁ……っく、ん……! っぐぅ……!!
(な、なんだ……隣は男か……?)」

隣の部屋からは少しの粘着音、ヘッドフォンから漏れる機械処理された女性の喘ぎ声。
そして、男性の荒い息遣いが聞こえてくる。

「はぁ……! はぁ……!! ふぅうっく……!!
(隣の男……俺と同じ……事……)」

いつしかシャロンは壁にもたれながら耳をつけながら行為にふけっていた

「んぁあ……はぁ、ぁ……っくぅ……
(こんなの、へ……変態だ……! なんて事を…!!)

男性の息遣いが荒くなると同時に、シャロンも自身の秘部を弄る手を早めていく。
いつしかハンカチを噛みしめる口はだらしなく開き、涎を垂らしていた。

「はぁ! はぁ! ふーっ!! はぁ! んぁ……!
(隣の男と、せ、せっくすをしているようだ……! ああ……すごい……!)」

行為に浸っていると、突然男のくぐもった声が聞こえた。

「……っ!!(い、イったのか…!? 射精…射精したのか…!!)」

その疑問を晴らすかのように、壁の向こうから独特の生臭い匂いが流れだし、シャロンの鼻孔を突く。

「はぁ……はぁ……はぁ……
(こ……これが精液の匂い……!? うう……こんなのが、お、俺の中に入る事が……ああ、駄目だ……そんな事っ……!!)」

精液の匂いに危険な妄想を膨らませながら、膣口と陰核を激しくかき回す。

「ふーっ……!! ふぅっ! ぅうぅっく! んっ!! っくぅぁあ……!!
(俺の中に、精液が……!! 精液っ!! せい…えいきぃい…!!)」

だらしなく口を半開きにし、自らの股間を弄っている様には、普段の冷静な姿はどこにもない。
快楽を貪る只の雌となり果てていたシャロンだったが、やがて来るべき絶頂の時を迎える。

「ん……くっ……!! ……っんっぐぁぁああぁぁあ……っ、くうぅうっ……♪♪」

大きく身体を震わせて最も高い場所へと到達した。
噛み締めていたハンカチは既に床に落ち、声を抑える役割を果たしては居なかった。

「はぁ……はぁ、はぁ……ん……な、なんか危険な想像をしていたような……しかし、少しマシになった……な…」

「ど、どうやら見られては居なかったようだ……危ない……迂闊すぎる……」

安堵したシャロンだったが、最後まで机の下に取り付けられていた撮影用の小型カメラに気づくことはなかった。

シャロン事務所内でのぞみと別れ、部屋に一人になったらうた。
着替えるために上着を脱ぐと、白いブラジャーの先端は乳液で濡れ、シミを作っていた。

「はぅ……どうして、こんなことに……
まだ、赤ちゃんも出来てないどころか、えっちだってしたこと無いのに……」

前日の内に事務所に持ち込んでいた荷物からタオルを取り出し、垂れ落ちた乳液を拭う。

「うぅ、べたべたして気持ち悪い……
胸……ぱんぱんに張っちゃって……どうしよう、これ……」

拭っても拭っても乳液の出が止まらない。
それどころか乳首の先端をタオルが擦る度、らうたの全身に鋭い快感が走り、乳腺からは更に大量の母乳が染み出してくる。

「んくっ…… あ、あぁ……♥ すごい、びりびり、くるぅ……♥
……全部、出しちゃえばいいのかしら。搾って、苦しいの、全部出しちゃえば……♥」

桃色の思考がらうたの脳を支配する。思えばここ2日間、らうたは常に誰かと行動しており、理性の最後の壁を踏み越える寸前に必ず誰かが止めてくれていた。
しかし、ここには他の誰も居ない。最早らうたの暴走を止められる要素は何も存在しなかった。

「そう、このままじゃ戦えないもの……これはしょうがない事……」

胸から臍の下へと裸体の上をらうたの細い指が滑っていく。
下半身に残されているスカートの留め金を外し、下着と共に静かに地面へと落とす。
艶めかしい仕草で跪座の状態になり、全ての装いを自ら剥がしたその指は、今もなお白い液を垂らし続ける先端へと向かう。

「はー、はー……♥ さわっちゃう、触っちゃうよ……♥」

らうたの指が乳頭へと到達する。

「ひぅんっ!? あ……あぁ……♥」

軽く触れただけでらうたは体を大きく仰け反らせ、乳首からは少量の乳液が細い糸のように吹き出す。
下に敷いてあるタオルからは大きく外れた場所に乳液が着弾するが、ららうたはそのことを気にも留めない。

「すごい、これ、ひゅごい……♥
もっと、もっと……♥」

らうたの瞳はもはや正気を宿しておらず、口元はだらしなく開き、今にも涎を垂らしそうになっている。
両の指は鈎状に曲げられ、それぞれ3本の指でしっかりと乳首を掴み、こねくり回す。

「あー、あっ、あっ、あっ……♥ きもひぃ……♥ きもちひぃよぉ……♥」

胸からは乳液がだらだらと体を伝い落ち、股からはまた別の液体が滴りだす。

「あぅ、こっちも、こっちも触りたいぃ…… でも、おっぱいもぉ……♥
あううぅ、腕が足りないよぉ……」

片腕は乳首を専門に責め、もう片方の腕は股間と乳首を行き来する。
指が股にある突起を擦るごとに腰を跳ねさせ、全身をゆらゆらとくねらせる。

「んうぅっ♥ こっちもすごいっ……!
気持ちいいところ、だらけで……ううぅ、耐えられない、こんなの我慢出来ないぃ……♥」

らうたの腰が徐々に浮き始める。
上下に往復している指先は、愛液と乳液が入り混じった濁った粘液に塗れており、体の前面は最早濡れていない場所が無い程、乳液に侵食され尽くされていた。

「ふあぁ、凄いの来るっ……♥
だめぇ、アイツの事務所、汚しちゃう……うあ、あ、あああぁぁっ……♥」

既にらうたの前方には小さな母乳の水溜りが出来ていた。
徐々に前かがみになりながら、らうたは絶頂に上り詰めるため、指をより激しく動かしていく。

「あっ、いっひゃう、いっひゃううっ♥
…………っ♥ あっ、あああっ、うあああああっ!!!」

全身を硬直させ、舌を突き出しながららうたは絶頂に達した。
一際激しく母乳を噴出した後、ゆっくりと前方に倒れこみ、びちゃりと母乳の水溜りの中に顔を浸した。

「ひ……ぁ……♥ ぁ……♥」

白く甘い香りの湖に沈んだまま、らうたの意識は黒い海の中へと落ちて行った。

夜が明け、周囲もすっかり明るくなって来た頃。
猛烈な尿意に襲われ、秋恵は目を覚ました。

「う、んんん……うぅ……といれぇ……」

寝ぼけ眼ながら、下半身の危機的状況に後押しされ、勢い良くトイレへと向かう。

「はぅう、間に合ったぁ……はにゃぁあ!?」

トイレへ駆け込みズボンを下ろすが、まずは慣れないものが股間に付いていることに驚く。
そして、その慣れないものは昨日までの大人しい様相から一変し、強烈にそそり勃っていた。

「うぅう、なにこれ……おちんちんがすごく固くなってるぅ…… なんでぇ……」

肥大したペニスを触り、感覚を確かめる。
しかし、驚きで忘れていた先ほどまでの尿意が再び襲い掛かる。

「あ、う、も、漏れちゃうぅ……! ど、どうしよ、えっと、確か弟はこうやって……」

秋恵は必死にペニスを下に向けようとするが、硬く張り詰めたそれを思うように操る事が出来ない。
そうこうしている内にも、魔族の卵によって高められた尿意の波が次々に股間へと襲いかかる。

「も、もうだめ……うぅう、こうなったら……」

意を決し、水洗タンクに両手を付く秋恵。
上半身を思いっきり前傾させ、尻を突き出すような姿勢になることで、ようやくペニスを便器の方向に向けることが出来た。

「んんぅ……ふぁ……」

ペニスから勢い良く尿が迸る。液体が尿道を通って行く感触に身震いしながら秋恵は排尿を済ませた。

「はあぁ……あぶなかったぁ。おしっこしたら拭かないと……
あれ、おちんちん……さっきより、柔らかくなってる……?」

初めての体験が多すぎて若干混乱しながら、秋恵はトイレを出た。

「はぁ……これ、どうしよう……
鬼ごっこが終われば、ちゃんと無くなるのかな……」

肩を落としながら部屋へと戻る。
ドアを開け、ベッドの横に置いてあった携帯を見ると、メールがあったことを知らせるランプが点灯していた。
先程は尿意に気を取られていたせいで気付かなかったらしい。

「あっ! メール来てた……! なんだろう、シャロンさんからかな?」

所変わってここは市内のネットカフェ。眠りから覚めたシャロンは、ドリンクコーナーにてカップにコーヒーを注いでいた。
そこへ、彼女の携帯が着信を知らせるバイブレーションを発する。シャロンは通話コーナーまで移動し、電話に出る。

「もしもし……秋恵くんか?」

「あの、秋恵です。メールみたんですけど、本当なんですか?」

「……そうだ。残念、ながらな……」

「そんなぁ……! よしのお姉ちゃん、一体どうして……?」

「秋恵くん、その……よしのくんだけじゃない。ムニサくんも『脱落』した」

「ど、どうして……! 昨日の夕方から、一体何があったんですか!?」

「う、うむ……話せば長くなるな。一旦合流しよう。事務所への道は覚えているか?」

「はい……じゃあ、これから向かいますね。」

「……いや、一人で行動するのは危険だな。らうたくんを呼んで我々がそちらに行く。家で待っていてくれ。」

シャロンは一度通話を切り、らうたの番号を呼び出した。
数コールのうちにらうたが電話に出る。声は沈んでいるが、既に起きていたようだ。

「おはよう、らうたくん。起きていたか?」

「……起きてるわよ。後片付けやらで色々と最悪な気分だわ」

「……? まあいい。秋恵くんを迎えに行こうと思う。
のぞみくんを起こして、二人で秋恵くんの家まで来てくれるか?」

「……わかったわ。はぁ……」

不機嫌ならうたに首を傾げながらシャロンは電話を切り、ネットカフェの会計を済ませ外へ出た。
昨晩の疲れか、黄色く見える太陽にシャロンは眉をしかめた。
程なくしてヒロイン達は秋恵の家の前で合流する。

「おはようございます、皆さん!」

「……体調は大丈夫か、秋恵くん。らうたくんの様子も昨晩から少しおかしいみたいだし……」

「うぅ、また張ってきた……」

「わたしは……えっと、大丈夫です。これからどうするんですか?」

「もう時間もあまり残されていないな……とりあえず事務所に行こう」

「わかりました……」

では、そうしていると、昨日のアイアンメイデンの施設から連絡があります

秋恵を迎え、全員で再びシャロンの事務所へ向かおうとした途端、突然シャロンの携帯電話が着信を告げる。
発信元は昨日訪れたアイアン・メイデン武衣栄出張所の様だ。

「……もしもし?」

職員「ラピスから情報を聞き出すことができました。情報を照合したいので来てもらえないでしょうか」

「……どういった情報ですか? 概要だけでも知りたいのですが」

職員「電話で話すにはあまりに情報量が多すぎます。カルテルまでの道のりは覚えていますね?」

「(よしのが他に情報を持っていたのかしら……?)」

なになに、もうアイツ復活したわけ? まぁいいわ。「脱落」した奴に用は無いの。見られないように万全を期してタッチしたし、バレてるってことも無いでしょ。
何か新しい情報をくれるって言うなら歓迎だわ。

「(さあ……ちょっと違和感を感じるから探ってみている)」

「(なんだろう、どきどき……)」

シャロンはその声に聞き覚えがあった。昨日一緒につばさの部屋に入ってくれた職員の様だ。

ふーむ、どういうことだろう?

電話では話せない、というのが怪しいけど……現状の情報源がかなり狭いですよね。
あとはひかりちゃんに会って確認するくらいかな?

とりあえず、カルテルに行く分には問題無さそうだけど…
あそこは一応、安全な場所だよね?

ここで行かないと、何も進展しなさそうだな……行くことにするか。

ひかりに会うにしても時間はあるし、行っていいと思います。

ヒロイン達は少しの間相談したあと、カルテルに向かうことを職員に伝えた。

「……わかりました、そちらに向かいます」

「ありがとう。昨日と同じルートで来てくれ」

とりあえず周囲に警戒しながら移動するわ。
なるべく人混みは避けたいわね。

満足に町中も歩けない状態で、ヒロイン達は昨日居たカルテル出張所まで再び向かうこととなった。
世界の平和を担っている彼女らが、日の当たる道を歩けないという矛盾。魔族達が仕掛けた罠は、彼女らの心を深刻に蝕んでいた。
果たして未だゲームに残されている彼女らは、無事にゲームを抜けることが出来るのか。やつれた心は、安全な場所であるはずのカルテルからの電話にすら懐疑の眼差しを投げかけていた。


2 Responses to '1章:5話'

  1. 壊れた風見鶏 says:

    ムニサの行動に違和感が…。
    となると、よしのが襲われたというのも、何か裏が…?
    次の最終話(ですよね?)が待ち遠しいです。

    相変わらず、右側補足説明やフキダシ背景の状態異常が嬉しいです。
    ページを戻ったりタブを移動したりせずに済むので、読むのに集中できます。
    個人的には、各キャラのフキダシに輪郭線があったら見やすいかなぁと思っています。

    • 克曇満 says:

      ムニサの行動に関しては、参加プレイヤー達も驚いていました。
      ただのミスなのか、或いは何者かの罠なのか……?

      ご要望ありがとうございます!
      吹き出しの枠線について検討してみます。確かに現状だと少々見辛いですね。

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